
「家族信託」という言葉は聞いたことがあるけど、
その内容までは詳しく聞いたことがない。
興味はあるけど、聞く機会がない。そんな方も多くいらっしゃると思います。
そのような方に向けて解説していきたいと思います。
さて、総人口に占める65歳以上の割合が29.3%と、
今や3人に1人が高齢者という時代になりました。
高齢化が進む中で、「相続」「認知症」「介護」などのキーワードは、
ほぼ毎日、目にするようになりました。
また、高齢者やその家族の財産を守るための対策として、
「遺言書」「成年後見」などのほかに、
「家族信託」というものが注目されるようになってきています。
では、この「家族信託」とはいったいどのようなものなのか?
「信託」とは?
「信託」とは、言葉の通り「信じて託す」という意味です。
信頼できる家族に財産管理を託すのが、「家族信託」ということになります。
高齢者になると「認知症」などにより、判断能力の低下が心配になります。
同じ商品を何度も買ってしまったり、
悪徳商法に引っかかったり、オレオレ詐欺に騙されたり・・・
そのような最悪の事態を避け、
高齢者の財産を守るためのものに「成年後見制度」がありますが、
家庭裁判所の管理下におかれ、財産管理にも制限がかかるため、
あまり使い勝手の良い制度ではないとの指摘もあります。
それに比べて「家族信託」は信頼する家族(家族の仲が良いことが前提)が、
ある程度、自由に親の財産を管理し、運用などの積極的活用もできるため、
対策のひとつの選択肢としては、とても有効だと考えられます。
5つの要素
「家族信託」のしくみで重要な要素になることが、
「誰が」「誰に」「誰のために」「何を」「どのように」信託するのか、
という5つがあります。
まず「誰が」「誰に」「誰のために」ですが、
「家族信託」では、委託者、受託者、受益者の3人が登場人物になります。
「誰が」という部分は、委託する側の人になるので「委託者」です。
次に「誰に」という部分は、受託する側に人になりますので「受託者」となります。
最後に「誰のために」という部分ですが、この関係で利益を受ける人なので、
「受益者」となります。
たとえば父親が認知症対策として、息子に不動産や財産の管理を信託すれば、
父親 = 委託者 兼 受益者
息子 = 受託者
ということになります。
次に「何を」の部分ですが、
これは「信託財産」になりますが、
財産には、預金や不動産、知的財産権、自社株式などさまざまです。
最後に「どのように」ですが、
信託行為の主なものに3つあります。
1、契約信託・・・委託者と受託者が契約で信託の目的及び内容や
受益者を決めて合意すケース
2、遺言信託・・・遺言により信託を設定するケース
3、自己信託・・・委託者が単独で信託宣言をするケース
委託者と受益者が同一で、公正証書か確定日付のある証書により、
第三者が見ても明確になる
家族信託でお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。