【家族信託】どんな流れで進めていくのか?

認知症対策にも有効な「家族信託」のようですが、

実際に利用していこうと思った時、どんな流れで進めていけば良いのだろう?

そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

では、「家族信託」の利用までの流れについて解説をしていきます。

利用の流れ(収益不動産編)

1,専門家と相談

認知症対策と言っても「家族信託」以外の選択肢もあります。

個々の実情に合わせて、何が最善の方法なのか、

まずは、税理士、司法書士、行政書士などの

国家資格者である専門家に相談してみましょう。

2,家族と相談

専門家と相談した内容をもとに家族と相談をして、

「家族信託」の知識を情報共有をしながら、具体的な運用の仕方について検討します。

特に「委託者」「受託者」「受益者」の考え方と、

それぞれの権利と義務については、家族間での納得が必要とされます。

3,信託契約書の作成

「家族信託」で欠かせないことに、契約書の作成があります。

金融機関の信託口口座開設や不動産移転登記、信託登記などの際に、契約書が必要になります。

私文書よりも公正証書を求められることが多いので、

公証役場で公正証書により「信託契約書」を作成しましょう。

なお、公正証書の作成には以下の書類が必要になります。

・不動産の登記事項証明書

・不動産の固定資産評価証明書

公図

・委託者、受託者それぞれの戸籍謄本

・    〃       印鑑証明書(発行3か月以内)

・    〃       住民票

・    〃       身分証明書の写し

4,税務署に書類提出

信託に関する受益者別調書

信託に関する受益者別調書合計表」を税務署へ提出します。

※委託者と受益者が同一の場合は、提出の必要がありません。

税務署への提出は、信頼できる税理士さんにお願いしましょう。

5,信託登記

法務局にて信託登記の手続きをします。

これにより不動産の権利関係を第三者に対しても明らかにします。

不動産の登記簿における所有者として、受託者の住所・氏名が記載され、

法的に所有者となり、受託者は賃貸物件の信託目的の範囲内であれば、物件の売却をはじめ、

新規契約、更新、解除などの手続きができるようになります。

また、登記簿の中には「信託目録」というものがあり、

信託の目的や受託者の権限などが、第三者にも簡単に確認できるようになります。

6,信託口口座の開設

収益物件を信託する場合では、

収益は委託者兼受益者である父親の収入となりますが、

賃貸物件の入居者から見て大家さんは受託者である息子になります。

この場合の家賃収入は、

受託者である息子の個人口座とは別にして管理する必要があります。

そこで「信託口口座」を改めて開設して、通帳を区別するようにします。

しかし、金融機関によって「信託口口座」の開設が可能か否かは異なりますので、

事前の確認が必要となります。

「信託口口座」の開設がどうしても無理な場合には、

個人口座で「信託専用口座」としての開設という手段もありますが、

極力、法的に守られているであろう「信託口口座」の開設をお勧めします。

(個人口座は、受託者死亡又は破産の場合に、預金が引き出せなくなるリスクがあります)

7,固定資産税の納付

固定資産税の納付通知書が届いたら支払います。

固定資産税は不動産の所有者に市区町村から請求が来ますので、

受託者である息子が支払うことになりますが、実際の負担は受益者である父親になります。

信託契約時にその旨を明記し、信託口口座から支出するようにしましょう。

8,信託の計算書

年間の収益が3万円以下の場合は必要ありませんが、

税理士等の専門家に依頼して、

通常は、毎年1月31日までに「信託の計算書」を税務署に提出します。

定期的にチェックをしてもらいながら、

変更が必要になったら、その都度対処できるようにしておくことをお勧めします。

家族信託に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。

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