
令和6年の民法改正で「共同親権」が導入されました。
今までの民法では父母のどちらか一方にしか、親権は認められないものでしたが、
子どもの利益を最優先に考慮し、「双方又は一方」と、
父母の双方に親権を認めることができるというものになりました。
しかし、裁判上の離婚事件で、双方に親権が認められない場合があります。
それには、どんな場合が考えられるでしょうか。
共同親権が認められない場合
改正民法819条7項後段に「父母の双方を親権者と定めることにより、
子の利益を害すると認められるとき」とあります。
子の利益を害するとは、父親が子にDVや虐待をしている。
又は父母の一方が他の一方へ身体への暴力をふるったり、
言葉による暴力だったりの恐れがあるなど。
共同して親権を行うことが困難と裁判所が判断されたときは、
共同親権が認められない場合となります。
その他、父母の両方が、相手方に親権を渡したくないと強く主張しているときなどは、
裁判所は親権者が決まらないということを理由に、共同親権にすることはありません。
逆に、父母の一方の同居親と子の関係が良くない場合に、
別居親の介入が子の利益のため、精神的な安定を図るために必要と判断した場合などは、
両者の同意なく共同親権にする可能性があります。
離婚届の受理
改正民法により変更になったことが他にもあります。
今までは離婚届を提出する際には、親権者が決まらないと受理されませんでした。
しかし、DVなどにより早く離婚したい場合には、
親権者の指定を定める家事審判又は家事調停の申立てがされれば、
協議離婚の届出が受理されることに変わりました。(民法765号1項2号)
改正前の単独親権
改正民法前に離婚し、現在は単独親権者であった人でも、
家庭裁判所へ共同親権への変更の申請をすることも可能です。
また、たとえ共同親権になったとしても、
すべてを双方合意で決めることになるわけではないので、
緊急の手術の同意や子の食事や服装、ワクチン接種、習い事などの
日常の行為については、今まで通り同居の親が単独ですることができます。
その他改正
ほかにも改正民放により、
養育費債権については、今まで公正証書での債務名義が必要であったが、
私文書の合意書があれば、
家庭裁判所に提出して差し押さえ命令を出すことができるようになりました。
また、財産分与は今まで離婚から2年以内に請求しなければならなかったのが、
5年以内の請求に期間が長くなりました。
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