【遺言相続】頼れる家族がいない場合の相続は?

2020年の国勢調査によると、静岡市全体の世帯が約30万に対して、

一人暮らし世帯は、その3分の1の約10万、

そのうちの3分の1に当たる3万6千世帯が65歳以上の高齢者になります。

頼れる家族がいないし、自分が死んだら周りに迷惑がかかりそう、、、

自分の財産はどうなるんだろう???

お葬式は?・・お墓は?・・ペットの面倒は?・・

そんな心配をされる「おひとり様」と呼ばれる方も多くいらっしゃいます。

そんな、おひとり様の相続対策について解説いたします。

生前と死後の対策

おひとり様の相続対策において、

主に生前の対策と死後の対策の2つに分けて考えられます。

(生前の対策として)

1.身元保証人

2,任意後見人

3,伴走者

4,エンディングノート

(死後の対策として)

1,遺言書

2,法定相続人

3,死後事務委任契約

4,葬儀

5,お墓

6,ペット

生前対策

(1)身元保証人

生前の対策として考えておきたいこととしては、

いつまでも元気でいられるか、それは誰もがわからない、ということです。

高齢で認知症になる可能性は、軽度なものも含めると約20%という予測もされています。

現在の生活が大変になり、人の世話になることが必要になった場合などは、

介護施設や有料老人ホームへの入所を考えると思います。

そのときに必要になるのが身元保証人です。(施設によっては不要もある)

今のうちから身近にいる友人知人にお願いしておくことをお勧めします。

通常は身元保証人になれるのは、20歳以上で経済的に自立していることが必要とされます。

因みに、後見人という存在もありますが、

身元保証人に後見人がなるということは、その目的の違いから許されない場合があります。

身元保証人は第三者として本人を保証するのに対して、

後見人は本人を代理して法律行為(契約など)をする人になります。

その理屈からすると、身元保証人と後見人は別にすべきということにも納得できます。

(2)任意後見人

前述したように、認知症になり意思能力・判断能力が衰えると、

契約行為で詐欺にあったりするので、弱者保護の観点から後見人制度が設けられています。

後見人制度には2種類あり、

意思能力があるうちから本人が任意で決めることができる任意後見人と、

認知症発症後に家庭裁判所で選任される法定後見人があります。

信頼できる人が身近にいれば、

公正証書で任意後見契約を結んでおくことをお勧めしますが、

費用がかかることや、一度始めたら止めることができない、

などのデメリットもあるので、慎重に検討することが必要です。

(3)エンディングノート

終活と言えば「エンディングノート」をイメージする人も多いと思います。

エンディングノートを書くことにより、考えていることが整理されたり、

新たに気づくことも出てきます。

まずは書いてみることで、やるべきことが可視化されるでしょう。

(4)伴走者

前述の(1)~(3)までを自分一人でやることもできますが、

一緒に考えてくれたり、話を聞いてもらったりする伴走者がいることで、

途中で挫折することなく、やり遂げる手段にもなり得ます。

出来れば信頼できる専門家が近くにいて、アドバイスを受ける環境があると安心です。

死後の対策

(1)遺言書

死後の対策として有効なものは、何と言っても遺言書です。

誰に何を相続又は遺贈させるか、若しくは寄付するなどを決めておくことができます。

相続人がいない場合は、特別縁故者(内縁の配偶者など)もいないときは、

財産は国庫に帰属することになります。

(2)法定相続人

遺言書を書く際は、法定相続人を知ることが重要になります。

法律では、配偶者がいない場合は子・孫へ、

子・孫がいない場合は父母・祖父母へ、

父母・祖父母もいない場合は兄弟姉妹・甥姪へと決まっています。

遺言書では、ご自分の意思により、

この法定相続人以外へ、自由に財産を譲ることも可能です。

(3)死後事務委任契約

遺言書はとても優れた相続対策になりますが、その範囲は財産に関することに限られます。

財産いがいのこと、例えば届出や契約の解約、遺品整理など、

死後事務委任契約では、ご自身の代わりに色々な手続きをしてもらうことになります。

(4)その他

葬儀のこと、お墓のこと、ペットのことなど、

それぞれ個人の状況により、心配になることにも違いがあります。

前述の死後事務委任契約には、それぞれの内容を盛り込むことも可能です。

また、それ以外の対策も考えられますので、ご自身にあった方法も検討してみましょう。

まとめとして

このように、おひとり様の相続対策は、早めに取り組むことが必要です。

何でも一人でやろうとすると、かなり大変になるので、

専門家の伴走者がいることで、精神的にも負担が軽くなると思います。

早めに準備することで、無理なく余裕をもった対策をしていきましょう。

遺言相続に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。

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