
費用をかけずに、手軽に作れる自筆証書遺言に比べ、費用の掛かる公正証書遺言ですが、
どんなメリットがあるのでしょうか?
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言のメリットとしては、主に次の3点が挙げられます。
1,公証人という法律のプロが確認するので、有効性の高い遺言書が作れる。
2,公証役場に原本が保管されるので、紛失や改ざんなどの心配がない。
3,遺言の存在を第三者に伝えることができるため、遺言執行が確かになる。
4,検認が不要になり、遺言執行がスムーズにできる。
検認とは?
主なメリットのうち、「4」で検認が不要とのことがあります。
では、その検認とはいったい、どのようなものでしょうか。
検認とは、遺言書を家庭裁判所へ持ち込み、
遺言書の形状や修正の状態、日付、署名、押印などの確認を受ける手続きです。
この確認がされるまでは、開封や遺言執行はできません。
もし検認される前に、そのような行為をしてしまうと、5万円以下の過料に課せられます。
自筆証書遺言(法務局保管制度以外のもの)や秘密証書遺言などは、公正証書遺言と違い、
公証人という法律の専門家が関与していないため、
家庭裁判所での検認の手続きが必要になっています。
では、その検認の必要のない公正証書遺言を作るときには、
どのようなことに注意すべきでしょうか。
公正証書を作るときの注意すべき点
1,証人2名以上の立ち合いが必要になりますが、次のような人は証人になれません。
(1)未成年者
(2)推定相続人、受遺者、これらの配偶者及び直系血族
(3)公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人
証人2名を準備できそうにない場合は、公証役場に相談すれば、
有料にはなりますが、紹介もしてくれます。
2,必要書類の準備
手続きをスムーズに進めるための書類を準備します。
(1)遺言者本人の確認のために「印鑑証明書など」
(2)遺言の内容を証明するために「登記事項証明書」「有価証券」「預貯金の残高証明書」
(3)相続人、受遺者を確認するための「戸籍謄本」「住民票など」
3,遺留分侵害額請求
兄弟姉妹以外は、民法で規定された遺留分という相続財産を受ける権利が認められています。
遺言書でこの遺留分を侵害する相続がされる場合には、金銭を請求される可能性があります。
4,遺言執行者
遺言者は、遺言で1人または数人の遺言執行者を指定することができます。
これにより遺言執行がスムーズになります。
また、遺言執行者になれない人には、未成年や破産者がいますが、
遺言執行者になるのに、特に資格が必要ではないので、相続人でもなることができますが、
利害関係がなく、財産管理の手続きに詳しい専門家、
たとえば弁護士や司法書士、行政書士などを指定しておくことをお勧めします。
遺言・相続でお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。