
相続トラブルと聞くと、、、
「我が家は大丈夫だろう」と思っている人も少なくありません。
では何故、世の中で相続トラブルが結構起きているのかを見ていきましょう。
2019年度の司法統計年報によると、
家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブルの34%が、資産1,000万円以下のケース。
資産5,000万円以下のケースが43%で、両方合わせると77%にもなります。
裁判になるのは、氷山の一角とも言われているので、
裁判にならない程度のトラブルのケースも、相当数発生していると考えられますので、
資産が少なくても、相続トラブルは発生しているのが現状ということになります。
では、その原因となっているのは何か?
相続トラブル4選
1,相続財産の大半が不動産
最も多い相続トラブルの原因としては、
預貯金が少なく、大半の相続財産が不動産の場合です。
相続人が複数人いるときは不動産の分割が非常に困難になることがその原因です。
分割には「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の4種類があります。
「現物分割」は土地の形状や道路に面しているか否か、
日当たりの良し悪しなどにより不公平感が生じることが予想されます。
「代償分割」の場合は、不動産を相続人の一人が取得しますが、
相続割合に応じて他の相続人に代償としての金銭の支払いが生じます。
預貯金が少ない場合には、財源不足のため履行が困難になります。
「換価分割」は不動産を売却して得た金額を相続人間で分割します。
この場合は公平感はありますが、今まで住んでいた方がいれば、立ち退かなくてはなりません。
次の生活基盤が確保されるのであれば、分割方法の中では、
現実的に「換価分割」が公平に分割することができ、最善の方法と言えます。
「共有分割」は、相続人の間で共有状態になるので、将来的にトラブルの火種が残ります。
2,相続人どうしの関係が複雑
例えば、被相続人に離婚歴があり、前妻との間に子どもがいる場合。
認知している隠し子がいる場合、実子以外に養子縁組している子がいる場合などは、
被相続人の配偶者や実子からすると、立場的な違いや日ごろからの交流がないことからも、
遺産分割協議が困難な場合が考えられます。
3,被相続人に子どもがいない
被相続人に子どもがいない場合は、
父母が相続人になりますが、すでにご父母が亡くなっている場合は、
兄弟姉妹または甥や姪が相続人となります。
被相続人の配偶者との間に、
日ごろからの交流があれば、問題なく遺産分割協議ができるかと思いますが、
多くの場合は、なかなか縁遠くなってしまって・・・
あるいは、最初から面識もなく・・・
もしくは、嫌いだから会いたくもない・・・
ということもあると思います。
4,特別な寄与をした人がいる
長男の妻など、相続人ではない親族が被相続人の亡くなるまで介護をしていた時などは、
特別寄与料の請求がされる場合もあります。
これまでは、被相続人の財産を維持または増加に特別の貢献をした相続人に対してのみ、
「寄与分」が認められていましたが、
2019年7月からは、相続人でない親族が無償で介護など「特別の寄与」をしていた場合に、
相続人に「特別寄与料」の請求が認められるようになりました。
このことにより、本来は相続財産を受け取る権利のなかった「長男の妻」などに、
「特別寄与料」としての相続財産を請求する権利が与えられました。
法定相続人からしてみると、受け取れるはずの相続財産の減額が予想されることになり、
相続トラブルの可能性が高くなります。
遺言・相続でお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。