【遺言・相続】【自筆証書遺言が無効になる場合10選】

自筆証書遺言は、公正証書遺言に比べ、公証役場に行く手間や公証人を依頼することも必要なく、

費用をかけずに自分の好きな時間、好きな場所で手軽に書くことができて便利です。

しかし、自分ひとりで作成するので、専門家の目に触れることもなく、

法的効力の有効性が保証されていません。そのため無効になる場合も想定されます。

どのような場合に無効になってしまうのかを確認していきましょう。

1,日付が正しくない

  ・令和〇年〇月吉日・・・吉日では日付が特定できないため無効となってしまいます。

  ・日付がスタンプ・・・日付も自書しなければなりません。(民法968条)

2,氏名が手書きでない

  ・パソコン等で氏名が記載されていても無効になります。民法968条)

  ・氏名がスタンプ・・・氏名も自筆にて署名しなければ無効になります。

  ・夫婦連盟の署名・・・共同遺言の禁止(民法975条)

3,印を押してない

  ・印を押してない遺言は無効です。

  ・実印で押さなくてはならない決まりはないが、証拠能力が高まるので実印を推奨します。

4,加筆や修正がルールに従っていない

  ・加筆や修正には厳しいルールがあります。

   「修正」は二重線を引き、近くに押印し、その横に正しい文字や数字を書く。

   押印は、消した文字や書き足した正しい文字が見えるようにすること。

   「加筆」は挿入記号で場所を特定し、文字や数字を記入し、その近くに押印する。

   押印は、元あった文字や数字や書き足した文字が印で隠れないようにする。

   そして、遺言書の行頭や末尾の余白部分に、

   「〇字削除〇字加入」「〇字加入」など自書し署名をする。

   上記のような面倒なことになるため、

   「加筆」「修正」が必要になったら、思い切って最初から書き直すことを推奨します。

   ・財産目録については、民法968条2で「自書することを要しない」とあるので、

   パソコンで作成することも可能です。その際、目録には署名・押印が必要です。

5,財産目録以外も自書していない

  ・2019年民法改正により財産目録はパソコン作成が認められましたが、

   それ以外のものについては、全文を自書することとなっています。

   また、録音や動画での遺言には法的効力がなく無効となります。

6,財産や相続人の指定が不明瞭

  財産や相続人の指定が曖昧で分かりずらい場合は無効になります。

  ・不動産なら登記簿をもとに正確に記載する。

  ・預貯金なら銀行口座をもとに銀行名、支店名、口座番号を正確に記載する。

  ・相続人は続柄、氏名、生年月日、住所などの組み合わせで特定できるようにする。

7,実在しない財産が記載されている

  ・すでに生前贈与していた。すでに売却していたのに勘違いで記載された。

   などの場合は、せっかくの遺言が無効になるどころか、

   トラブルの原因にもなりかねません。注意しましょう。

8,遺留分を侵害している

  ・相続人の遺留分を侵害している場合は、その部分が無効になる場合があります。

   (民法1046条 遺留分侵害額請求)

9,公序良俗に反している

  ・愛人への贈与などは、公序良俗に反して無効となります。

10,正常な意思能力で書かれたのか疑わしい

  ・民法963条 遺言能力、遺言をする時において、その能力を有しなければならない。

   元気なうちに遺言を書いておく必要があります。

まとめに

今回ご紹介した自筆証書遺言が無効になる場合を知ったうえで、

元気なうちに遺言書を書いておくことがベストです。

ちょっと不安だなと思ったら、専門家に相談することをお勧めします。

遺言・相続に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。

行政書士赤堀昌治事務所のホームページ