
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の中でも
特に国際業務と言われる翻訳・通訳の業務をしようとする時、
どんなことに注意すれば申請要件を満たし、
在留資格の許可を取得できるのでしょうか?
実際の許可事例・不許可事例を参考に対策していきましょう。
翻訳・通訳の申請要件とは?
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の中でも
翻訳・通訳の業務に従事するための申請要件は、
(1)専攻した科目との関連性
(2)翻訳・通訳に従事できる能力
(3)必要とされる十分な業務量
これらの要件を満たしていることが必要になります。
(1)と(2)は申請しようとする外国人本人が対象
(3)については、外国人を雇用しようとする企業に求められるものになります。
許可事例
(1)翻訳・通訳学科で、通訳概論、言語論、通訳演習、通訳実務、
翻訳技法等を履修した者が出版社で出版物の翻訳を行うとして申請された。
(2)国際ビジネス学科で、ビジネス通訳実務、ビジネス翻訳実務、
通訳技巧などの翻訳・通訳に特化した専門科目を履修した者が、
商社海外事業部で、商談の通訳及び契約資料の翻訳を行うとして申請された。
不許可事例
(1)CAD・IT学科で、CAD、コンピュータ言語、情報処理概論等を
専門科目として履修した者が、
一般科目として日本語を履修していたが、卒業単位の約2割程度で、
基礎能力の向上を図る程度のものでしかなかったため不許可となった。
(2)国際ビジネス専門学科で、経営学や経済学を履修したが、
当該学科における日本語は、基礎能力向上程度のレベルで、
翻訳・通訳業務に必要な高度な日本語レベルが認められず不許可となった。
(3)国際コミュニケーション学科で、日本語の文法、通訳技法等を履修した者が、
成績証明書を確認したところ、日本語科目全般がC判定と最低レベルであり、
日本語能力検定等の資料提出を入管が求めたが、その後提出されず不許可となった。
(4)翻訳・通訳専門学校で、日英通訳実務を履修した者が、
ビル清掃会社で留学生アルバイトに対する通訳
及びマニュアル翻訳に従事するとして申請されたが、
留学生は通常一定程度以上の日本語能力を有しているもので、
通訳の必要性が認められず、また、マニュアル翻訳も常時発生する業務でないため
十分な業務量も認められないという理由で不許可となった。
(5)翻訳・通訳専門学校で、日英通訳実務を履修した者が、
飲食店店舗で、英語で注文を取ることやメニュー翻訳といった内容の業務
に従事するとして申請があったが、簡易な通訳に留まることから、
翻訳・通訳の必要性と十分な業務量が認められず不許可となった。
(6)日本語・日本文化学科を卒業し、
人材派遣及び物流を業務とする企業との契約で、
商品仕分けを行う留学生アルバイトに対して、
通訳業務に従事するという内容で申請があったが、
具体的には自らも商品仕分けのシフトに入り、留学生アルバイトに、
指示や注意喚起を通訳するという内容で、
自らの商品仕分けに対して、
通訳・翻訳の業務量を考えた時、業務量が認められず不許可となった。
まとめとして
以上のように通訳・翻訳に従事するための在留資格は、
申請要件に、外国人本人の高度な能力や
雇用する企業としての必要的な業務内容や業務量が基準になってきます。
グローバル社会に重要な役割を担う通訳・翻訳に従事する外国人は、
これから益々必要不可欠な存在になってきます。
入管へ申請する場面で不許可にならないために、
要件を事前に確認することや、不安があれば専門家に相談するなどして、
万全の準備をしていきましょう。レッツ、ジャパンライフ!
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