
今、高齢者の一人暮らしが社会問題になっています。
静岡県においても、2011年から2020年の10年間で、
孤独死が約1.5倍に増えている状況というデータもあります。
今回は、おひとりさまの孤独死について考えてみたいと思います。
孤独死になると
孤独死の事件があった場合、まず警察で検死が行われます。
その後、身寄りがなかったり、親族が遺体の引き取りを拒んだ場合は、
自治体により火葬が行われ、遺骨は親族に渡されます。
しかし、遺骨の受取さえも親族が拒んだ場合は、
無縁仏として永代供養されます。
なんとも悲しい最後、、、と言えるかもしれません。
そのような孤独死を避けるために、できることはないでしょうか?
死後事務委任
死後事務委任は、自分の死後の手続きを、信頼できる人に依頼をしておく契約です。
この契約は、公証役場で公証人による公正証書の作成が必要になってきます。
死後事務委任契約の内容には、主に以下のものが挙げられます。
1,遺体の引き取り
2,葬儀、埋葬、納骨
3,家族、親族、関係者への死亡連絡
4,役所への死亡届、戸籍関係の手続き
5,公的年金などの資格抹消手続き
6,運転免許証、健康保険証などの返却
7,生命保険や医療保険の手続き
8,賃貸住宅の退去と明け渡し
9,自宅の売却
10,遺品整理
11,退院、退去費用の清算
12,公共料金の解約
13,SNSのアカウントやメールアドレスの停止
これ以外にも細かい契約も可能ですが、その分の追加料金は発生します。
身寄りのいない方はもちろん、親族に迷惑を掛けたくないという方も、
この死後事務委任契約は押さえておきたいところです。
信頼できる人に頼むこと
死後事務委任は、特に受任者に資格が必要ではないため、
友人、知人に依頼するということもできなくはありません。
ただ、委任契約する相手が信頼できる人でない限り、
せっかく頼んだ死後事務を実行してくれなければ、
なんの意味もないことになってしまいます。
死後事務の中には、役所の窓口などで、
親族や同居人でなければ手続きできないものもあります。
その意味からも、親族や同居人に代わって手続きを進めることのできる資格をもつ、
弁護士や司法書士、行政書士といった国家資格者の専門家に、
依頼をしておくことをお勧めします。
遺言書も書いておく
死後事務委任は、あくまでも事務のことについて委任できる、
ということになりますので、それ以外に必要なものとして、
財産についての処分があります。
財産処分には、遺言書が必要になってきます。
相続人に相続させるのか? 世話になった人に遺贈するのか?
慈善団体などへ遺贈寄付するのか?
そのようなことも遺言書で決めておかなければなりません。
孤独死の問題を考えると、
「人が一人死ぬ」ということは大変なことであり、
様々な死後事務が発生することからも、生前整理の重要性を感じます。
遺言・相続に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。