人手不足と言われる昨今、2024年の帝国データバンクの企業動向調査によると、
「正社員が不足していると感じている」と回答した企業は、全体の52.6%
そして、2023年の人手不足倒産は260件以上と過去最多。
2019年4月から特定技能制度がスタートし、日本政府は5年間で34.5万人の特定技能外国人受け入れを
目標としましたが、2023年12月時点では20.8万人程度で、目標にはまだ到達していないという状況です。
そして日本政府は新たに2024年3月に、
5年間で特定技能1号外国人を82万人にするという目標を示しています。
このような人手不足解消を目的とした特定技能制度と、国際貢献を目的とした技能実習制度では、
大きく違う点があります。
そして、技能実習制度については今後廃止される予定で、
現在見直しが図られ、人材確保と人材育成を目的とした「育成就労制度」に将来的には変更されます。
今回は、この特定技能と技能実習のメリット・デメリットについて解説していきます。
特定技能のメリット
特定技能のメリットとしては、次のようなことが考えられます。
外国人の立場から見たメリット
1,技能実習よりも給与が高い
技能実習の場合は、技術の習得が主になりますので、所謂見習い扱いです。
よって賃金は最低賃金以上なら問題ありません。
逆に、特定技能になると実務経験あり又は試験合格という条件をクリアしている人材なので、
即戦力が期待できます。在留資格の許可要件としても賃金は日本人と同等又はそれ以上
というルールが厳密に決まっています。
2,長期的に就労が可能
技能実習の場合は長くても5年の期限があります。
特定技能については、最初から5年の期限が付与され、2号になれば無期限となります。
3,家族帯同可能(特定技能2号)
技能実習も特定技能1号も家族帯同は不可ですが、特定技能2号を取得すれば家族帯同可能となり、
配偶者や子どもが日本に呼ぶことができます。
4,転職可能
特定技能は原則として転職可能です。
技能実習・企業としてのメリット
1,受け入れが容易
未経験者採用なので、特定技能に比べ募集が集まりやすい (現地採用は定員に対して2~3倍の応募)
2,計画的に採用が可能。(例えば、今年10名・来年10名・再来年10名~)
3,国籍・性別など希望する条件で募集が可能
4,3年間は同じ企業で就労を継続
最低3年間は辞めないので、安心して雇用することができます。
技能実習・企業としてのデメリット
1,採用までに期間がかかる
現地で半年の日本語教育を受け、日本に来てから1か月の日本語教育、
合わせて最短7か月の期間が必要
2,教育に時間がかかる
技術の習得に時間がかかる
3,入国後直後は実践的な日本語でのコミニュケーションが難しい
特定技能・企業としてのメリット
1,日本語能力が比較的優れている
2,日本で働いた経験・生活したことがあるので即戦力になりやすい
特定技能・企業としてのデメリット
1,候補者の母数が少なく、人員の確保が難しい
2,海外開催の試験が少ない
3,国内転籍の場合、配属時期を定めるのが難しい
在留期限によってことなるため
4,すぐに辞めてしまう可能性がある
原則として転職は可能なので、他に条件のいいところがあれば移ってしまう。
まとめに
人材の確保を安定的にしたい企業の場合は、技能実習生を募集することがよろしいかと思います。
技能実習生は長くても5年の期限なので、1年ごと数名単位で受け入れをして、
5年を満了した技能実習生は卒業して、ということを繰り返せば仕事は回っていきます。
人数的なことよりも人材の質の高さを求めたければ、特定技能を利用し、
最初は若干名の受け入れをして、即戦力になってもらうよう教育し、
翌年にはまた、若干名の受け入れをして、
先輩の特定技能1号外国人に後輩の指導を任せるようにすれば、企業側の労力も少なくて理想的です。
ここでポイントなのが、同じ国のなるべく同じ地域からの採用にすると、
先輩・後輩の間でコミニュケーションが問題なくできます。
以上簡単にですが、特定技能と技能実習のメリット・デメリットについて解説してきました。
今後の参考にしていただければ幸いです。
外国人の在留資格に関するお悩みは、当事務所へご相談ください。