
自筆証書遺言と公正証書遺言を比較したときに、
公正証書遺言なら遺言者と公証人と証人2名の前で作られ、
証拠能力も高く、法律のプロである公証人のチェックも入るので、
無効になる可能性が低い等との利点から、
公正証書遺言を選ばれる方も多くいらっしゃいます。
そして公正証書遺言にする最大のポイントは、
遺された家族に、相続(遺産分割協議)で揉めてほしくない。
という遺言者の切なる思いが込められているのではないでしょうか?
そんな公正証書遺言ですが、
はたして、遺産分割協議をする必要はほんとにないのでしょうか?
実は公正証書遺言で作ったとしても、内容が適切でなければ、
相続人同士で話し合わなければならないことになります。
たとえば、相続財産の内容が部分的なものでしかなかった場合。
相続財産が部分的
たとえば相続人が長男と次男の2人だった場合に、
「長男に不動産を相続させる」とだけ書かれていたら、、、、
預貯金は???
と、記載した財産が一部分のみであった場合には、
預貯金の分け方について、別途話し合いが必要になってきてしまいます。
繰り返しになりますが、遺言書にはすべての財産を網羅する必要があります。
たとえば「その他の財産については次男に相続させる」などの表現をすることで、
すべての財産を網羅できます。
そのほか、曖昧な表現をされてしまうと、これもまた話し合いが必要になったりします。
割合で表現
たとえば「財産の2分の1を〇〇に相続させる」とだけ書かれていたとすると、
財産の中には、預貯金もあれば不動産や動産もある場合もあります。
預貯金なら計算すれば2分の1は割合として算出できますが、
不動産ともなると、中でも建物などは、
なかなか2分の1という分け方では困ってしまうケースが出てきます。
逆に割合で表現したほうが良い場合もあります。
預貯金の場合などがその一例になります。
遺言書を書いた時点と、亡くなられた時点とで、入出金の関係で、
預貯金の金額が変わってくる場合が多いため、
具体的な金額よりも割合で記載する方法が現実的です。
まとめとして
せっかく公正証書遺言で遺言を遺しても、内容に不備があり、
家族が遺産分割協議で揉めてしまえば、残念としか言えません。
そうならないための公正証書遺言なのですから。。。
今回のケースは稀なケースとも言えます。
自筆証書遺言に比べたら公正証書遺言にしておくことのほうが、
トラブルになる可能性も低いことは確かです。
遺言・相続に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。