
公正証書と契約書の違いについて、いったい何が違うのか、、、
そんな疑問を持っている方もいらしゃるかと思います。
日常生活では、あまり馴染みのない公正証書ですが、
通常の契約書との違いはあるのでしょうか?
結論から申し上げますと、
それは、訴訟トラブルになった時の証拠能力の違いにあります。
明らかに証拠能力の高いもの、
それが公証人が作成する公的文書である公正証書です。
「本旨外要件」があるか無いかの違い
では、証拠能力を高めるための具体的な違いについて説明します。
公正証書は通常の契約書に比べ、
外形的な違いとして、主に以下の2点が設けられています。
(1)契約書の最初に、公証人が作成したことの記載があること
(2)契約書の最後に公証人が作成したことを示す「本旨外要件」の記載があること
本旨外要件とは、公証人法で記載すべき事項が以下のように決まっています。
・証書番号
・嘱託人(当事者)の住所、氏名、年齢(法人の場合はその名称、事務所)
・代理人による嘱託の場合はその旨、代理人の住所、職業、氏名、年齢
・嘱託人または代理人の氏名を知り、かつ面識があるときはその旨
・第三者の許可または同意があるときは、その旨及びその事由、
第三者の住所、職業、氏名、年齢(法人の場合はその名称、事務所)
・印鑑証明書の提出その他の方法で人違いでないことを証明させ、
または証明書を提出させて証書の真正を証明させたときは、その旨及びその事由
・代理人による嘱託の場合で、公証人が保存する書類で代理権を証明する証書の真正
が証明できるときは、その旨及びその事由
・急迫な場合で人違いでないことを証明させることができない場合は、その旨
・立会人を立ち会わせたときは、
その旨及びその事由、立会人の住所、職業、氏名、年齢
・作成の年月日、場所
以上、なかなかのボリュームになりますね。
公正証書は有力な証拠になる
公正証書を作成しておくと、後々のトラブルに備えることが出来ます。
たとえば当事者間で契約書を作っていたとしても、
いざトラブルになった際に、
当事者の一方が「この契約書は偽造書類だ」などと主張してきたら、
証拠書類としての証明力は低下してしまいます。
しかし、公正証書は公証人という法律の専門家が作る公的文書なので、
事実証明する際にとても有力な証拠となります。
さらに公正証書の原本は公証役場で保管されますから、
改ざんや紛失の心配がありません。
強制執行が可能
万が一、訴訟トラブルになった際には、長い時間と費用がかかります。
1.通常は裁判で争い勝訴する
2,相手がそれに従わない
3,裁判所に強制執行を申し立てる
このように、決められたルールに従い長い時間と費用をかけ、
相手方に弁済を求め、それでも相手が従わない場合には、
さらに裁判所に強制執行の申立てを行い、
やっと執行されるという段階的なプロセスを踏まなければなりません。
しかし、公正証書にて、「期限内に返済しなければ、
債務者は強制執行を受けても構わない」という強制執行許諾約款を
記載することにより、裁判を経ることなく執行することが出来ます。
なお、強制執行許諾約款を設けることが出来る公正証書は、
金銭や株式などの債務が絡むものに限られます。
公証役場への費用や書類の準備
公正証書の種類や目的価格によって、公証役場での費用が変わってきます。
公正証書作成に必要な手数料はこちら ⇒ 日本公証人連合会のホームページ
その他、法律専門家の手を借りる場合は、その手数料がかかります。
必要書類は、本人確認のための印鑑証明書のほかにも、
内容によっては戸籍謄本や登記簿謄本などが必要になってくる場合もありますので、
事前に公証役場に確認しておくと良いでしょう。
公正証書作成に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。