【公正証書】忙しくて公証役場に行けないときは?

公正証書を作成する際は、その内容を十分理解している当事者が、

公証役場に出向き、公証人と話しをするのが本来は望ましいのですが、

当事者が諸事情により多忙などの理由から、それが難しい場合には、

どのようにしたら良いのでしょうか?

忙しいときでも目的の公正証書作成ができるようにする、

そのような方法を解説します。

代理人に嘱託

忙しくて当事者が公証役場に行くことが困難な場合は、

どのようにしたら良いのでしょう。

代わりに行ってくれる人がいたら、その人にお願いしたい。

そう思われる方も多くいらっしゃることでしょう。

たとえば、夫の戸籍謄本を、

代わりに妻が市区町村役場に出向いて取得する。

そのようなことは、日常では珍しいことではありません。

同じように、公証役場においても代理人に嘱託するという方法もあります。

代理人に資格は必要ありませんので、

家族、親戚、知人など、どなたでも可能です。

法律知識などに不安があるなら、

弁護士などの専門家に依頼することもできます。

委任状が必要

公正証書の作成のため、当事者が代理人に依頼する場合には、

その権限を明確にするため、委任状が必要になってきます。

依頼された代理人が、その権限の範囲を超え、

勝手に内容を追加したり、依頼者の意思に反する内容に、

変更したりすることを避けるために委任状が必要になります。

委任状には次の内容を明確に記載することが求められます。

(1)本人および代理人の氏名の記載

   「誰が」「誰を」代理人にするのか明確にします。

   本人および代理人双方の氏名、住所、生年月日を記載します。

(2)委任内容の記載

   「何を委任するのか」を明確にします。

   代理権の内容を特定する情報を詳細に書面に記載して、

   「別紙書面の内容による公正証書作成嘱託の権限を委任する」

   という委任状になります。

   また、強瀬執行を認める公正証書の場合は、

   委任状に強制執行認諾約款を付することを記載します。

本人への通知

公証人は、代理人の嘱託によって公正証書を作成した場合には、

公証人法施行規則に従い、本人へ以下の内容を通知しなければなりません。

(1)証書の件名、番号、作成年月日

(2)公証人の氏名と公証役場

(3)代理人と相手方の住所、氏名

(4)債務者が直ちに強制執行に服することについての陳述の記載の有無

本人へ通知が来た場合は、上記内容に間違いがないか確認をしましょう。

注意点

委任状に氏名、住所以外の記載がないものを白紙委任状と言います。

消費者金融やヤミ金業者などに、

債務者が白紙委任状を渡してしまったがゆえに、

このような悪徳業者が好き勝手に、委任状を使い、

債務者の不動産を売却したり、預金を差し押さえたりと、

大きな被害を受けるケースが多発したことを受け、

現在は貸金業法の改正が行われ、

貸金業者は公正証書の嘱託に関する、

委任状を取得すること自体が禁じられています。

いずれにせよ、委任状には本人の権限と同様の効果を与えることになるので、

その内容については、しっかり確認をすることが重要です。

公正証書作成に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。

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