相続でトラブルになるケースで、夫に前妻との子がいる場合があります。
前妻には相続権はありませんが、夫と前妻との間の子には相続権があります。
つまり夫が亡くなった時は、前妻の子は法定相続人となります。
仮に夫と前妻との間にできた子をAと呼ぶことにします。
現在の妻をわかりやすく後妻と呼ぶことにします。
そして後妻との間の子をBとします。
前妻とは10年以上前に離婚し、Aとはそれ以来、会っていない状態です。
この想定で、もし夫が亡くなった時の相続人は誰になるのか?
後妻は法的に配偶者ですから常に相続人となります。
次に後妻の子であるBも相続人です。
ここで問題になるのが、前妻との子Aの存在です。
後妻やBにとってAは、アカの他人になりますから、
会ったこともないAに相続財産を持っていかれるのは、面白くないですね。
相続分については、後妻が財産の2分の1、BとAの二人で2分の1を等分しますので、
4分の1づつということになります。
そしてAには、遺留分があります。民法1046条1
前妻との子には遺留分がある!
遺留分とは、相続分の2分の1、つまりここでは8分の1にあたりますが、
侵害されれば、当然に請求できる権利を持っています。
また夫が亡くなって、遺言書がなければ、3人で話し合わなけれななりません。
後妻とBにとっては、それも大きな負担となります。
残された後妻とBの負担を減らし、穏やかな暮らしを続けていくためには、
いったいどのような対策が必要でしょうか?
対策1、生前贈与で財産を0にする。
・相続人への生前贈与は亡くなる10年前までが相続財産に含まれます。
寄って、10年以上前に贈与しておく必要があります。
・相続人以外の第三者への生前贈与は1年前までが相続財産に含まれます。
寄って、1年以上前に贈与しておく必要があります。
対策2,遺言書を書いておくパターン1。
・遺言書に後妻とBに財産を相続されることを書いておく。
この場合は遺留分の問題が残るので、それを避けるためには、
夫が事前にAに対して納得してもらうように話をしておく。
事例では前妻の子が遺留分を放棄する場合もよくあるようです。
対策3,遺言書を書いておくパターン2。
・事前に遺留分を考慮した財産の分配をすると、後妻とBに話しておくこと。
対策4,生命保険を活用する。
・生命保険の死亡保険金の制度を利用して、受取人を後妻、Bにしておく。
この場合は、受取人の固有財産となり、
相続財産に参入されないためAの相続分を減らすことができる。
判例では、全財産の50%ぐらいなら生命保険に移行するのも認められたようです。
それ以上になると、遺留分侵害になる可能性があります。
まとめに
対策として何点かあげてみましたが、あくまで参考としてです。
それぞれの家庭や環境によってケースは様々で、他にも良い対策があると思われます。
いずれにしても予防できるトラブルは事前に対策を講じておきたいものです。
遺言・相続でお悩みの方は専門家に相談することをお勧めします。
遺言・相続のお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。