【相続】【相続の基礎・遺産分割までの流れを解説】

人生で必ず1回はやってくる相続について、遺産分割までの流れをわかりやすく今回は解説していきます。
被相続人(亡くなった人)の死亡と同時に相続が開始され、残された遺族に財産が承継されるまでの流れになります。
主に以下の5項目に分類して話を進めていきます。

1,遺言書の確認

  それではまず初めにやらなければいけないのが、遺言書の有無を確認することです。
  遺言書があれば、その通りにするだけです。
  法定相続分にかかわらず「妻〇〇に全財産を相続させる」とか、「〇〇福祉団体に〇〇を寄付する」とかも有りです。
  その通りに実行するだけです。
  たとえば当初遺言書が見つからなくて遺産分割協議をしても、後から遺言書が出てくれば遺言書が優先されます。
  それだけ遺言書は絶対なのです! 尚、相続人全員の合意があれば変更も可能ではあります。
  しかし一人でも反対する人がいれば遺産分割協議は無効となり、結局遺言書の通りにするしかなくなります。
  また遺言書が法的に有効かどうかによっても変わってきます。詳しくは別の機会でご説明します。

2,相続人の確認

  次に必要になってくるのが相続人の確認です。
  これには被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍を取得します。
  家族だけしかいないから必要ないと思っていても、過去に認知していた子どもがいたり、孫を養子にしていたりと。
  事実は小説よりも奇なりといった驚くべき真実が出てくることもあります。
  また相続人になるためには順位があります。血縁があるから必ずしも相続人になれるわけではありません。
  法定相続人の順位について簡単にふれておきます。
   
   被相続人の配偶者である夫や妻は常に法定相続人となります。その次に、

   第1順位の法定相続人は子です。この時の法定相続割合は 配偶者2分の1、子2分の1
   すでに子が亡くなっていれば子の子、つまり被相続人からみて孫に権利が移ります。
   これを代襲相続と言います。さらに再代襲という形でひ孫にも権利がいくことがあります。
   もし第1順位に該当する家族がいなければ、

   第2順位は被相続人の直系尊属である父母が法定相続人になります。
   この時の法定相続割合は 配偶者3分の2、直系尊属3分の1
   父母が亡くなっていても祖父母がいれば、祖父母に代襲相続されます。
   第2順位に該当する家族がいなければ、

   第3順位は被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となります。
   この時の法定相続割合は 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
   兄弟姉妹が亡くなっていればその子、つまり甥姪に代襲相続されます。
   ただし兄弟姉妹の場合は再代襲はありません。甥姪までが相続人の範囲です。

3,遺産の確認

   被相続人名義の不動産、金融資産、動産などのプラス財産のみならず、
   借金などのマイナス財産についても全て相続することになります。
   マイナス財産が多ければ思わぬ負担を相続人が背負うことになります。
   慎重に確認することをお勧めします。
   全て出そろったところで次の段階に進みます。

   限定承認は、
   プラスの財産の範囲内でマイナス財産を弁済するという良い制度ではあるが、
   手続きが煩雑、相続人全員で、とあまり実用的ではないようです。

4,相続するか否かの選択


   相続するか否かの選択には単純承認、相続放棄、限定承認の3種類があります。
   この選択は、相続開始を知った時から3か月以内にしなければなりません。
   そして単純承認以外、つまり相続放棄と限定承認は家庭裁判所への申告が必要です。
   3か月の期限を過ぎてしまうと単純承認したものとみなされます。
   
   単純承認は、
   プラス財産もマイナス財産もすべてを相続することです。
   一般的に相続と言えばこれになります。
   
   相続放棄は、
   家庭裁判所に申告することにより、当初から相続人でなかったことになります。民法939条
   また放棄したことにより当然に代襲相続も認められません。
   その結果として次の順位の相続人に権利が移行します。
   マイナス財産の多い相続の場合は大変迷惑な話になります。

5、遺産分割協議


   遺産分割協議とは、被相続人の遺言書がない場合に、
   相続人全員で遺言の分割について話し合うことです。
   これにより誰が何をどれだけ財産を取得するかを決めて、
   共有状態から個人の財産へと移行することが可能となります。
   話し合いがまとまれば遺産分割協議書を作成します。
   遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印での押印、
   そして全員の印鑑証明書が必要になります。
   相続人が遠方にいたり、認知症や未成年などの場合は、
   なかなか面倒なことになってしまいます。

   遺産分割協議書の法的な効果としましては、
   書面にすることで、口約束の場合にありがちな「言った。言わない。」
   という後々のトラブルを防止する効果や
   不動産の名義変更や銀行口座の解約、相続税の申告時などにも必要になったりします。

まとめ

   ご家族の誰かが亡くなられた場合、最初にすべきことは遺言書の有るか無いかの確認。
   次に遺言書が有ればその通りに実行。無ければ相続人と遺産の確認。
   それから相続を承認するか放棄するかの決定。(放棄は個別の判断でOK)
   最後に遺産分割協議書作成。

     ⇒ 行政書士赤堀昌治事務所のホームページ