自筆証書遺言を書いてみたけど、ちょっと心配。
せっかく作るなら無効にならない遺言を作りたいなど。
そうお考えの方も多いことと思います。
データによると、55歳以上の4人に1人が「自筆証書遺言を書いたことがある」
又は「これから書くつもりでいる」と答えた結果もあるようです。
2020年7月10日からスタートした法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度もでき、
これまで以上に自筆証書遺言を書く人は増加していくものと考えられます。
しかしながら、この保管制度、遺言書の内容までは確認してもらえません。
法務局の窓口では、遺言の形式ルールについてはチェックしてもらえますが、
遺言の内容に関するアドバイスや法的事項に関する相談は一切応じてもらえません。
遺言内容に関する相談は、事前に専門家に依頼をする必要があります。
そこで公正証書遺言の利用をお勧めします。
公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人2名の立ち合いのもとで作成します。
公証人とは、法務大臣によって任命された公務員であり、
元裁判官や元検察官などから選ばれた者で、遺言などの公文書を作成します。
公正証書遺言のメリットやデメリットは以下のようになります。
公正証書遺言のメリット・デメリット
【メリット】
- 公証人が作成するので、形式不備により無効になる可能性が低い
- 公証役場が保管するので偽造や書き換え、紛失の可能性がない
- 家庭裁判所での検認が不要
【デメリット】
- 証人2人が必要
- 公証役場への手数料がかかる
- 公証人と遺言案を打ち合わせしたり、戸籍を集めたり、
- 財産を裏付ける資料を取り寄せるなどの準備に手間がかかる
公正証書遺言作成の流れ
【公正証書遺言作成の流れ】
1,原案を考える・・・財産の内容や分け方を箇条書きで書いてみる
2,公証人と打ち合わせ・・・事前に遺言の内容や必要書類についての確認をする
3,資料を揃える・・・実印・印鑑証明書(遺言者9
戸籍謄本・住民票(遺言者・相続人など)
不動産登記簿謄本・固定資産税評価証明書(土地・建物)
その他財産関係の資料
4,証人を依頼する・・・証人を2人以上決める(立ち合いの時は印鑑を用意してもらう)
5,公正証書遺言の作成・・・証人と公証役場に行き、遺言を作ってもらう
原本ー公証役場に保管、正・謄本ー遺言者に交付
(遺言執行者なども保管)
証人の条件
証人になるための条件は、成人であることです。
相続人になる予定の人、遺言で財産をもらう人やその配偶者、直系血族などは証人になれません。
検索システム
公正証書遺言を作成すると、公証役場の「遺言検索システム」に登録されるため、
相続発生後に法定相続人なら、どこの公証役場からでも、
遺言の有無や保管場所を調べることができ、遺言の写しをもらうことができます。
まとめ
公正証書遺言は、費用がかかることと、証人が必要になることがありますが、
無効になることが、ほぼ無いと言えるので安心して保管することができます。
せっかくの努力を無駄にせず、家族をがっかりさせないためにも、
公正証書遺言をお勧めします。
尚、自筆証書遺言を否定しているわけではないので、その点ご理解を。
遺言・相続に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。