【遺言・相続】公正証書遺言で預金の払い戻しは誰がする?

公正証書遺言において、相続財産に預貯金がある場合、

その払い戻しはいったい誰ができるのでしょうか?

そんな疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。

結論としては、2つのケースがあります。

一つ目は、遺言書に遺言執行者が定められている場合です。

1,遺言執行者が定められている場合

この場合は、遺言執行者が預貯金の払い戻しを行います。

公正証書遺言に遺言執行者が指名されていれば、

基本的に単独で遺言の内容を速やかに執行していくことが出来ます。

2つ目のケースとしては、

公正証書遺言に遺言執行者が定められていない場合です。

この場合は、さらに2つのパターンに分けられます。

2-1家庭裁判所に遺言執行者の選任

2-1として、

家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることです。

家庭裁判所からの選任により、遺言執行者が決まれば、

1と同じように、遺言執行者が預貯金の払い戻しを行います。

2-2相続人全員で払い戻し

2-2として、

相続人全員で払い戻しを行います。

この場合は、相続人全員の署名捺印した遺産分割協議書が必要になります。

これにより金融機関に対し、相続人全員の同意があることを証明します。

金融機関では、さらに所定の相続手続きに必要な書類を準備することが求められます。

1,被相続人の除籍謄本

2,相続人全員の戸籍謄本

3,払い戻しを受ける相続人の印鑑証明書

4,遺産分割協議書

3,その他

余談にはなりますが、

相続預金の払い戻し制度というものもあります。

これは、遺産分割前に相続人が単独で一定金額を引出せる制度です。

決まりとしては、

1,相続開始時の預金額の3分の1に法定相続分を掛けた金額が上限となります。

  ただし一つの金融機関で150万円までという上限があります。

例えば、相続人が長男と次男の2人の場合で、相続開始時の預金が600万円とした場合。

長男が単独で引き出せる額は、600万円 × 1/3 × 1/2 = 100万円となります。

このように、各相続人は自分の法定相続分に基づいて、

遺産分割が完了する前に預金の一部を引き出すことが可能になります。

 また、生活費や債務の返済などの理由を示し、家庭裁判所に申し立てを行い、

許可がでれば、預金を引き出すこともできます。

まとめとして

このように、公正証書遺言に遺言執行者が指名されていれば、

預貯金の払い戻しも含めて、相続開始時に速やかに遺言が執行されます。

これから公正証書遺言をつくる場合には、遺言執行者の指名をしておくことをお勧めします。

また、内容的に遺言執行には大変な労力を必要とする作業となりますので、

できれば専門家に依頼をしておくほうが、相続人の負担も減らせますし、

そのほうが良いでしょう。

遺言・相続でお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。

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