
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分となった方を支援する制度です。
内閣府の調査では、2025年、65歳以上の方の約5人に1人が、
認知症になるというデータもあります。
今後益々、成年後見制度の利用が増える可能性があると言えます。
成年後見制度には、法定後見と任意後見、この2つの種類があります。
2つの違いについては、
1,法定後見・・・すでに判断能力が不十分な場合
2,任意後見・・・今は元気だけど将来に備える場合
法定後見とは?
すでに判断能力が不十分な方を保護するため、
親族の申立て等により家庭裁判所が後見人を選任します。
後見人は、本人に代わって以下のことができます。
・預貯金の管理
※法定後見制度利用の理由で、最も多いのが、
「本人または家族では、預貯金の解約ができなくて困ったから・・・」です。
・悪徳商法から守る
・税金の手続き
・医療や介護の契約
法定後見・手続きの流れ
1,裁判所への申立て準備(1~2か月)
申立書、診断書、戸籍などの必要書類を準備する
2,家庭裁判所への申立て
3,審理開始
本人との面談、後見人候補者との面談。。。
4,選任審判
5,法定後見の登記
6,後見人の仕事開始(申し立てから3~4か月)
法定後見のメリット
1,取消権がある
本人が不利益な契約をした場合に後見人が契約を取り消すことができる。
2,家庭裁判所が選任するので、弁護士や司法書士などの中立的な立場の人が選ばれる。
法定後見のデメリット
1,希望通りの候補者が選ばれるとは限らない
2,成年後見人に選任されると、辞めることができない。
3,成年後見人が年に1回、本人の収支を裁判所へ報告する義務がある。
4,資産運用ができない。
5,相続税対策ができない(相続税は本人ではなく、相続人の利益だから)
6,居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要。
任意後見とは?
今はまだ元気だけど、将来に備えておきたい場合
本人が後見人となる人を選べる。何をしてもらいたいかを自分で決めることができる。
契約は本人と後見人予定者が公正証書で作る。
本人が認知症になった時に、家庭裁判所は後見人とは別に監督人を選任する。
後見人は監督人に報告し、監督人は家庭裁判所へ報告するという仕組みです。
任意後見・手続きの流れ
1,契約内容の決定
2,公証役場で任意後見契約(契約内容決定から1~2か月)
(判断能力の低下)
3,家庭裁判所に監督人選任の申立て
4,後見監督人の選任審判
5,任意後見の登記
6,後見人の仕事開始(申し立てから1~2か月)
任意後見のメリット
1,本人が決めた人が確実に後見人になれる。
2,契約内容が自由(代理権の付与)
3,居住用不動産の売却も家庭裁判所の許可不要
任意後見のデメリット
1,取消権がない。
2,元気なうちに契約しないとならない。
3,任意後見監督人の報酬は家庭裁判所が決定する
(本人の財産状況などにより、1~3万円程度の報酬額)
まとめとして
法定後見の場合は、やむを得ず利用しなければならない。
といったマイナスの感覚がありますが、
任意後見の場合は、将来に備えてといった形で前向きな感覚があります。
やはり、備えあればということで、任意後見をお勧めします。
成年後見に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。