
貴女の夫に前妻の子がいた場合、
もし夫が亡くなり相続が発生すれば、相続人は貴女と前妻の子になります。
これまで一緒に暮らしてきた夫の財産は、貴女の好きなように受け取ることはできず、
前妻の子との共有状態になります。
つまり前妻の子の同意がなければ、手をつけることができない状態になります。
この共有状態を解除するためには、遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議
夫が遺言書を書いていなかった場合には、
貴女と前妻の子で遺産分割協議をしなくてはなりません。
法定相続分としては、2分の1づつということになりますが、
不動産など、分割しにくい相続財産がある場合は、ちょっと面倒なことになります。
預貯金などと合わせて計算して、キレイに分割できれば別ですが、
ほとんどは不動産の額に比べて、預貯金が少ないというパターンが考えられます。
そのような事態にならないために、事前に対策できることとしては、
夫に遺言書を書いておいてもらうことです。
遺言書の必要性
遺言書があれば、遺産分割協議よりも遺言書が優先されます。
当然に遺言書が有効なものであること、
相続人の中に遺言書の内容に異議を唱える者がいないことが前提となりますが、
遺言書があれば、指定された通りに遺言執行できます。
では、遺言書に書いてもらう内容はどのようにすればいいでしょうか?
遺言の内容
遺言の内容としては、
1,「すべての財産を妻(貴女)に相続させる」と書いてもらう
この場合は、前妻の子には遺留分侵害額請求される可能性もあるので注意が必要です。
※遺留分減殺請求とは、相続人が法定相続分を受け取れる権利を侵害されたときに、
法定相続分の2分の1を請求することができるとした法律。
この場合では相続財産の4分の1ということになります。
2,「すべての財産を妻(貴女)に相続させる。
ただし妻(貴女)は相続した財産の4分の1を代償分割として前妻の子に支払うものとする」
前妻の子の遺留分を予め考慮しての内容になりますが、
代償分割としての支払いが伴いますので、預貯金もしくは生命保険の死亡保証金などで、
その分を支払額として確保しておかなければなりません。
その他の対策として、
夫から前妻の子に対して生前贈与で「遺産の前渡し」をしてもらっておく、
ということも考えられます。
生前贈与がされていた場合は、特別受益の持ち戻しとして、
相続が発生した際には、遺産に持ち戻して計算されます。
生前贈与がされた記録を証拠として残しておくことが必要になります。
いずれにせよ、後々のトラブルを避けるため有効な遺言書の作成には、
ひとりで悩まず、専門家への相談をお勧めします。
遺言・相続に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。