【遺言・相続】言った、言わないで問題になる口約束

仲の良かった家庭が、ふとしたことから揉めるケースがあります。

これが相続の問題になると、裁判沙汰にまで発展する場合もあります。

できれば仲が良い家庭を持続させたいと、誰もが思うはず。

そうならないための対策を考えていきます。

言った言わないの物語ははじまります。

言った、言わない物語

両親と姉Aと弟Bの4人、とても仲良く暮らしていた家族がいました。

あるとき父が亡くなり、相続が発生します。

母と姉A、弟Bの3人で話し合います。

弟B「父さんの遺産はすべて母さんが相続すればいいね」

姉A「ほんとは法定相続分ていうのがあるみたいだけどね」

弟B「そういうのは面倒だから、すべて母さんに任せようよ」

姉A「う、うん・・・」

姉Aには、あまり納得いかないままで話し合いは終わり、

遺産分割協議書も作ることはありませんでした。

不動産の名義も父のままで、母に名義変更をすることもありませんでした。

その後、年月が経つにつれ、日々の生活の中で母と姉Aの仲が次第に悪くなっていきました。

母「あなた(姉A)には、1円たりとも財産は渡さない」

姉A「何を言っちゃってるの?バカじゃない」

母「全財産は弟Bに相続させるからね」

そう母は姉Aに言い放ち、

遺言書も「すべての財産を弟Bに相続させる」との内容で書き、

やがてこの世を去りました。

母も他界(数次相続)

母が亡くなり、姉Aと弟Bが集まり、母の遺言書を確認します。

そこには「すべての財産を弟Bに相続させる」と書かれていました。

姉A「すべての財産なんて書いてあるけど、そんな財産はないわよ」

弟B「だって父さんから相続した財産があるじゃないか?」

姉B「父さんから相続した財産? そんなのまだ決まってないことよ」

  「母さんに相続した証拠は何もないし、不動産だって父さんの名義のままでしょ?」

  「父さんの財産をどうするかは、これから私とあなたで決めることなの」

弟B「そんなことはない、父さんが亡くなった時に3人で決めたじゃないか」

姉A「3人で決めた?私は納得してないわよ。私が納得したって証拠があるの?」

一見、仲の良かった家庭も、こうなってしまうとどうしようもありません。

弟Bとしては、父が亡くなった時に話し合いは済んでいたと思っていても、

遺産分割協議書という形で書面にて証拠を残していなければ、

姉Aのように後から言った、言わないのようなことを言われてしまえば、

反論する余地がありません。

裁判になったとしても言った、言わないは立証することが難しく、

証拠不十分で姉Aの主張が通ってしまいます。

口約束には十分注意したほうが良さそうです。

相続が発生したら迷わず専門家に相談して、トラブルのない円満相続をしたいものです。

遺言。相続に関するお悩みは、お気軽に当事務所へご相談ください。

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